
みなさんは、ストレスが悪いものだと考えているでしょうか。
これだけたくさん、ストレスは悪いといった情報があるなら、そのような考えを持ってしまうのも無理はないと思います。
ところが、ストレスには良い面もあって、「悪いものと決めつけることが悪影響を及ぼしているんじゃないの?」という情報がありましたので、詳しくご紹介していきます。
ストレスは本当に悪いもの?
心理学者のケリー・マクゴニガルによると、3万人のアメリカ人を対象に行われた調査では、
- 「この1年でどれだけストレスを感じましたか?」
- 「ストレスは健康に悪いと思いますか?」
という質問をして、8年後に参加者のうち誰が亡くなったのかを調べたそうです。
すると、強度のストレスがある場合は、死亡リスクが48%も高まっていたことが分かりました。
ただ、驚くべきことに、死亡リスクが高まったのは、「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけだったとのこと。
この結果から、ストレスは健康に悪いという思い込みが、悪い結果を引き起こしている可能性があるということになるわけですね。
思い込みの力によるプラシーボ効果は有名ですが、悪い方向にも働いてしまうことには注意した方がよさそうです。
ストレス耐性の強化
ストレス耐性を強化するには、ストレスが悪影響だという思い込みから改善していくことが必要になります。
①ストレスマインドセットの理解
⇒自分がストレスに対してどのような考えを持っているかを知る
②ストレスマインドセットの改善
⇒ストレスも役に立つということを知る
①ストレスマインドセット
ストレスに対してどのような考えを持っているのかについては、心理学者のアリア・クラムらが「ストレスマインドセット診断基準」というものを開発してくれています。
以下の質問のどちらに自分の考えが当てはまるかを、チェックするだけです。
ぜひ、試してみてください。
マインドセット1「ストレスは害になる」
- ストレスがあると、健康や活力が損なわれる。
- ストレスがあると、パフォーマンスや生産性が低下する。
- ストレスがあると、学習や成長が妨げられる。
- ストレスは悪影響をもたらすため、できるだけ避けるべきだ。
マインドセット2「ストレスは役に立つ」
- ストレスがあったほうが、パフォーマンスや生産性が向上する。
- ストレスがあったほうが、健康や活力の向上に役立つ。
- ストレスがあったほうが、学習や成長に役立つ。
- ストレスにはよい効果があるため、利用すべきだ。
さて、自分のマインドセットはどちらだったでしょうか。
ほとんどの方は、マインドセット1「ストレスは害になる」という結果になったのではないかと思います。
「ストレスは害になる」という考えを持っている人は、少しだけ考え方を変えてみましょう。
ストレスマインドセットの改善
それでは、ストレスはどんな場合に役に立つのか確認していきましょう。
自分を動かす
ストレスは自分自身を動かすことができます。
締め切り直前になるまで仕事が進まないという人も多いのではないでしょうか。
締め切りで動き出すということは、適度なストレスがかけることで、自分自身を動かすようにしているといえます。
完全なリラックス状態で仕事をするのは逆に難しいかと思います。
成長する
ストレスは自分を動かすだけではなく、成長にもつなげることができます。
例えば、テストを受けたり、発表をするとなると、不安の気持ちがあるから、最大限の準備をしようと思いますよね。
実際、ストレスレベルの高い人の方が、成績が良い傾向があるとの研究結果もあります。
人が成長するためにも、ストレスは必要だといえますね。
人とのつながりを大切にする
ストレス反応によって、人はつながりを求めることが分かっています。
ストレスを感じている状況だと、誰かの声が聞きたくなったり、相談したくなったりした経験がある人も多いのではないでしょうか。
ストレスがあることで、周りの人の大切に気付き、周りを思いやれるようになっていきます。
人生に満足する
意外かもしれませんが、全くストレスを感じなかった人よりも、ストレスはあったけどそれを乗り越えたという経験をしている人の方が人生に満足している傾向があるようです。
困難な状況を乗り越えた経験は、自分の自信にもつながりますし、困難な状況があったからこそ、恵まれていることを感じやすいのかもしれません。
まとめ
ストレスが完全なる悪でいいことは一つもないという思い込みをしているせいで、ストレスの悪影響を大きく受けてしまっている可能性があることを紹介しました。
実際、ストレスには様々な効果があり、
- 自分を動す
- 成長する
- 人とのつながりを大切にする
- 人生に満足する
など、役に立つということもあるようです。
このように、ストレスにも良い面があるということを知った人は、ストレスの悪影響を受けなくなったなんていう研究結果もありますので、これを機にストレスマインドセットを変えてみてはいかがでしょうか。
もしかすると、今までよりもストレスへの耐性がつくかもしれません。
●参考文献
ケリー・マクゴニガル(2015)『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』大和書房
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