
世の中 努力をすることが大事みたいな風潮がありますが、やはり遺伝からくる才能というものが存在することは、皆さんが感じていることだと思います。
時間が限られている以上、努力でなんとかなるものなのか、別の道を探したほうが良いのかの判断は重要になります。
今回の記事では、行動遺伝学の見解から、「遺伝で才能(能力)はどれぐらい決まるの?」という疑問にお答えします。ぜひ、伸ばせそうな能力と伸ばすのが難しい能力を知って、努力の方向性を決めるヒントにしましょう。

才能(能力)は遺伝でかなり決まってくるよ!
才能(能力)が決まる要因
遺伝で能力がどれぐらい決まるのかは、行動遺伝学という遺伝子が約100%同じ一卵性双生児と約50%が同じ二卵性双生児の統計的な傾向から、遺伝の影響度を推測するという研究がされています。
例えば、身長の統計データを調べたときに、二卵性双生児に比べて一卵性双生児の方が同じ身長になる確率が高ければ、遺伝の影響が強いと判断できるということです。

ちなみに、能力は遺伝、共有環境、非共有環境の3つの要因によって決まります。
①遺伝
そのまま遺伝の影響を指します。
身長などの努力で伸ばすことは難しいものは、遺伝の影響が大きいということがいえます。
②共有環境
家族を類似させるような環境のことを指します。
親が読書好きだったとすると、家にはたくさんの本がある環境となり、自然と子供も本を好むようになるなど、兄弟の類似性をうむ共有的な環境のことです。
③非共有環境
共有環境以外の環境を指します。
学校での先生や友達の違い、兄弟とは違う習い事など、兄弟と同じようには体験していない、全ての出来事が非共有環境ということになります。
遺伝で才能(能力)はどれぐらい決まる?
遺伝の影響は、「遺伝」、「共有環境」、「非共有環境」で決まるという説明をしましたが、能力によってい遺伝の影響度合いが異なります。

上記のグラフを確認すると、ほとんどの項目について遺伝の影響が大きいことが分かります。
身長が9割以上遺伝の影響を受けるのは想像しやすいですが、体重もそれに近いぐらい影響を受けているようです。遺伝の影響が強いものは、努力で何とかするのは難しいと思われます。(ダイエットが難しいのも遺伝要素が強いからかもしれません)
さらには、知能や学業成績にも関係しているようでして、約半分以上は遺伝の影響を受けています。同じ学習をしていても、すぐに理解できる人と、理解に時間がかかる人では、この辺りに差があるのかもしれません。
遺伝の影響が予想よりも強くて、ショックを感じた人もいるかとは思いますが、こういう研究をしてくれるのはありがたいことです。
半分しか遺伝が影響しない能力も多いので、
- 知能(IQ)
- 性格
- 美術
- 外国語
- 記憶
- 知識
など、努力で十分補えるということになります。
このあたりの遺伝影響の少ない能力を向上させるという戦略を立てるのも良いかもしれません。
なによりも、性格が遺伝だけで決まらないということには、大きな希望がもてるのではないでしょうか。自分の行動しだいで性格を変えることが出来るわけですからね。
遺伝は年をとると影響が強くなる
先ほどのグラフでも、IQ(児童期)、IQ(青年期)、IQ(成人初期)で遺伝の影響が変わっていましたが、実は、収入も同様に年齢によって変わるようです。20代から遺伝の影響が次第に強くなり、40代後半にもなると遺伝の影響が強まり共有環境の影響はほとんど無くなってしまいます。

これは、教育による能力の底上げが少なくなり、より遺伝そのものの影響力が強まるためだと考えられ、中年から年収が上がり(下がり)だした人は、遺伝の影響を受けだした可能性があります。
大器晩成型というのは、優秀な遺伝を活かせてなかったが、それが開花した結果なのかもしれません。
まとめ
遺伝の影響は大きく、ほとんどの能力において半分程度の影響力をもっているということをご紹介しました。
遺伝の影響が大きいからといって、努力が無駄という話ではありません。そもそも、統計的な傾向であって、全員にあてはまる話でもないので、参考程度としてみていただけたらと思います。
私は本を読むのが好きなので、知能・記憶力・知識は向上できるというのは、なかなかうれしい結果でした。
私のように頭が悪くても、能力を向上できる可能性があるのは希望がもてます。
●参考文献
安藤寿康(2016)『日本人の9割が知らない遺伝の真実』SBクリエイティブ
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