ファクターモデルについて解説【利益の要因を特定する】

投資で利益を出していくためには、リターンを生み出す要因を特定することが重要になります。

そのリターンを生み出す要因は、すでに経済学者達が研究をしており、ファクターモデルという形でリターンを説明しています。

例えば、6%の利益を出したなら、その理由としてアメリカ市場の株を買っていたことで5%、割安株を買っていたので1%合わせて6%というように、なぜそのリターンを出せたのかの説明をすることができようなイメージになります。

このリターンを説明するための要因(ファクター)について知っておくと、投資をする上でのヒントになるので簡単に説明しておきます。

有効な投資方法はファクターを利用していることが多いよ!

①CAPM(資本資産価格モデル)

リターンを説明するモデルの原型となるもので、対象となる市場の平均リターンをもとにポートフォリオのリターンを説明するというものです。

ポートフォリオには、個別銘柄ごとにβと呼ばれる市場感応度が存在し、βが1.2で市場リスクプレミアムが±5%だったなら、5%相場が上がると+6%(5×1.2)となり、5%相場が下がると-6%(-5×1.2)となります。

この考え方では、 市場リスクプレミアムに対しての反応の大きさ(β)で、リスク・リターンが決まるといえます。 CAPMでは、ポートフォリオのリターンは市場ベータのみに影響されるという考え方をするので、シングルファクターモデルと呼ばれています。

この理論が成り立つには、投資家が全員が合理的な行動をして、リスクとリターンの関係が必ず最適な状態となる必要があります。しかし、現実はそうなっていないため、β値によって期待リターンを正確に求めるというようなことはできません。

また、小型株効果、バリュー効果などのアノマリーの存在により、現実に理論を当てはめることはできないとされています。

この理論では分散の重要性についての説明で使われることが多く、

個別銘柄リターン=リスクなし金利+β×市場リスクプレミアム
⇒個別銘柄は個別リスクと市場リスクが存在する

十分な分散投資を行うと、β値が平均である1に近づくため、個別リスクが無くなり市場特有のリスクだけが残るということになります。

そのため、分散して投資をすることが重要だといわれています。

市場リターン=リスクなし金利+市場リスクプレミアム
⇒分散されたポートフォリオは市場リスクのみが存在する
⇒分散投資することで個別リスクを小さくできる

②3ファクター・モデル

ケネス・フレンチとユージン・ファーマが発表したモデルとなります。

CAPMが市場ベータだけで説明したものに、サイズとバリューを加えて拡張することでリターンの説明精度を上げています。

企業の規模が小さいほどリターンを生み出しやすいサイズ効果、割安な会社ほどリターンを生み出すバリュー効果は、過去に超過リターンを上げ続けきてきたことから、ファクターモデルに加えられています。

  • 市場ベータ(RM):市場リターン
  • サイズ(SMB):時価総額の大小
  • バリュー(HML):簿記時価比率の大小

③4ファクター・モデル

カハートが発表したモデルとなります。

フレンチ、ファーマの3ファクター・モデルに、モメンタムを加えて拡張することでリターンの説明精度を上げています。

モメンタム効果は、過去1年のリターンが上位の会社はリターンが下位の会社を上回るリターンを出しているということから、ファクターモデルに加えられています。

  • 市場ベータ(RM):市場リターン
  • サイズ(SMB):時価総額の大小
  • バリュー(HML):簿記時価比率の大小
  • モメンタム(MOM):短期リターンの大小

④5ファクター・モデル

 ケネス・フレンチとユージン・ファーマが発表したモデルとなります。

 フレンチ、ファーマの3ファクター・モデルに、収益性、投資を加えて拡張することでリターンの説明精度を上げています。

収益性の高い会社や投資が少ない会社は、超過リターンを生みやすいことから、ファクターモデルに加えられています。

  • 市場ベータ(RM):市場リターン
  • サイズ(SMB):時価総額の大小
  • バリュー(HML):簿記時価比率の大小
  • 収益性(RMW):収益性の大小
  • 投資(CMA):投資の大小

まとめ

ファクターモデルでは、利益を生み出すファクターがいくつも存在していることをご紹介しました。

これらのファクターにより、リターンを説明できるということは、ファクターを利用することでリターンを向上できるとも考えられます。

以下の例のようにファクターを意識した投資をすることで、成績を向上できる可能性があります。

私自身、ファクターを意識して銘柄の選定を行うことが多いです。

【ファクターの利用例】

  • 市場ベータ:日本株
  • サイズ:時価総額の小さい会社
  • バリュー:PBRの低い会社

米国株ではモメンタム効果が有効なのに対して、日本株ではモメンタム効果がほとんどなく、バリュー効果が大きいという傾向がありました。しかし、近年ではバリュー効果が落ちてきているようです。

このように、ファクターには地域別の違いや有効な期間が違ってくるので、いくつかのファクターを組み合わせるマルチファクターという考え方も重要になります。

やみくもに銘柄を探すよりも、過去に超過リターンを生み出しているファクターの中から探していくほうが、利益を生み出せるのではないかと思います。

 投資をする際の参考にしてみてはいかがでしょうか。


●参考文献

Fama and French(2014)『A Five-Factor Asset Pricing Model』
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2287202

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